SEってとても給料が高いんだよね?僕も転職して、ばりばり稼げるようになりたいなあ。
こんなふうに考えているあなたへ。
それ嘘です。
という話をしていきます。
Contents
結論:システムエンジニアの給料は安い
システムエンジニアの給料は安いです。
東京なら平均年収を100万円下回ります。
この記事の信憑性
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」2019年のデータを取得して分析しました。
お上が発表しているデータなので、データの品質自体には恐らく間違いありません。
ついでに私はデータサイエンティストとして転職予定の人間です。(今回の調査に全く高度な手法は使っていないのであんまり関係ないけど)
あと一応データハンドリングのスペシャリストでもあります。
ネットで一般的に流説している情報について
Googleで「SE 年収」で検索して一番上に出てくるサイトをみると、こんな文面が載っています。
厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査(平成29年)をもとに、システムエンジニア(以下:SE)の年収を算出しました。
統計データによると、SEの平均年収は550.8万円となっています。
全体の平均年収が454.5万円なので、SEの年収は比較的高い水準にあります。
過去5年間の推移を見ても、500万円を超える高い水準をキープしていることが分かります。
引用元:システムエンジニア(SE)の年収データ!1,000万円を目指す方法とは【2019年版】
今回私が調査で使った賃金構造基本統計調査のデータをこちらのサイトでも使っています。
あと、本ブログでレビューしているプログラミングスクールでもエンジニアの給料が高いことを転職のメリットとしてうたっています。
こうした情報を見たら、普通の人はこう思うはずです。
ITエンジニアの給料ってやっぱり高いんだ!!確かにエンジニアは人手不足だと聞くし、これから求められていく職業だから当然だよね!!
IT = 将来性抜群 という感覚があるため、多くの人はこの情報に疑いを持たないでしょう。
でも、私はSEとして働いていて前からすごい疑問でした。
実際に周りの他の業種の友人と比べても私の年収は代り映えしないどころか、100万円~200万円くらい差をつけられていることはざらでした。
私の所属していた企業の給料は業界内では中の中といったところでそれほど低いわけでもありません。
これは不自然だと考え数値と睨めっこした結果、ネットで一般的に流布している情報にはシステムエンジニアという職業の特殊な性質が考慮されていないことに気づきました。
この特殊な性質を考慮しなければ、本当にシステムエンジニアの給料が高いと断言することはできません。
システムエンジニアの職業の性質とは
ずばり、次の2点です。
- 職場が都心部に集中している
- 男性の割合が高い
まず①ですが、企業の本社が集中している都心部にエンジニアの職場も集中していることは想像できますよね。
一般的に地方よりも都心部のほうが給料が高いです。
次に②ですが、システムエンジニアは女性より男性が圧倒的に多いです。
出産などでキャリアを積みにくい女性のほうが男性よりも全体的な年収が低くなる傾向があることは常識だと思います。
このため、男性比率が高い職種のほうが平均年収は上がりやすくなります。
この2点がシステムエンジニアの給料を平均よりも年収を高くしていると推測しました。
要するにシステムエンジニア自体が稼げる職業というわけではなく、他の要因で年収が上振れているだけではないか、ということです。
これらの仮説について、実際にデータを見ながらファクトチェックしていきたいと思います。
エンジニアの半数以上が東京勤務
以下の通り、エンジニアは東京都に半数近く集中しており、大きく偏りを見せています。
ちなみに全国の平均月給は30.6万円にたいして、東京都は38万円と20%以上の差を付けています。
システムエンジニアの東京一極集中は確実に年収を押し上げるでしょうね。
エンジニアの男性比率は82.3%
こちらも、推測通りエンジニアの男性比率は他の職種と比較しても高くなっています。
全産業でみても男性の割合は女性よりやや高いですが、それでもシステムエンジニアほどではありません。
ちなみに全産業の男性の平均月給は33.7万円にたいして、女性は24.7万円と30%以上の差を付けています。
男性の比率が高ければ、当然平均年収も上がることが想定されます。
以上のことから、
システムエンジニアは
- 職場が都心部に集中している
- 男性の割合が高い
という仮説についてデータの裏付けが取れました。
エンジニアの年収は「東京都・男性」に限定して、比較すべき
システムエンジニアにはこうした特殊な要因がある以上、全国平均の年収と比べても高く出ることは当然だと推定されます。これで「システムエンジニアは稼げる!!」と宣伝されても説得力がないですよね。
そのため、システムエンジニアが稼げる職業であることを証明するためには、エンジニアが集中している「東京都・男性」の平均値と比較すべきだと考えます。
その結果が以下の通りです。
理解いただけただろうか?
なんと「東京・男性」で限定すると、システムエンジニアの給料は100万円以上も平均を下回ることが明らかになりました。
追い打ちをかけるようであれですが、年収が近かった職業も一緒に記載しました。「土工」というのは土木工事に従事する労働者のことです。
「土工」に抜かれ、「営業用バス運転者」に肉薄されているのが東京のエンジニアの実態です。
いや、別に「土工」だって世間に必要とされているし、大変な職業ですよ(あんまり知らないけど)。
でも、システムエンジニアってもっとこう、エリート感溢れるスマートで高給なイメージありましたよね??
残念ながら、システムエンジニアは少なくとも東京では平均より稼げない職種です。
「エンジニアは稼げる!!」という昨今の風潮はいったい何だったんでしょうか??
ていうか、東京の平均年収たっか!!ほぼ700万だと・・・。
追記:上では「土工」より稼げない!!と大げさに書いていますが、実は平均年齢が大きく異なります。土工の平均年齢は50歳を超えてますが、エンジニアは38歳。土工と比較して、若いうちに同じくらいの給料をもらえているので、エンジニアのほうが高給だと言えないことはないです。それでも平均を100万円下回るという事実はどう考えてもマイナスでしょう。
高給を夢見てエンジニアを狙うのは決して楽ではない
以上のことから、エンジニアの給料は安いということになりました。
おかしいと思ったんですよね。
転職活動中、求人を見ていると職種名に「エンジニア」とつくだけで、年収が1ランク下がる事案がたくさんありました。どちらかといえば、コンサルや営業といった対人でコミュニケーションをとる職種のほうが給料いいんですよ。
日本はエンジニア軽視とよく言われるので、致し方ない風潮なのかもしれません。
なのでエンジニアという職業に決して甘い夢をもつべきではありません。
給料だけで考えるなら、新卒で大手のいいところに入るのが1番確実です。
会社によっては勤めてさえいれば30歳くらいで東京の平均年収軽く超えますしね。
それでもエンジニアを目指すメリット(お金的な意味で)
というわけで、ここまでエンジニアの待遇について不都合な真実を明らかにしてきましたが、それでもエンジニアを目指すメリットって何でしょうか?
ここでは給料や待遇にフォーカスしてお話しします。「やりがい」とか「技術楽しい!!」みたいな理由は本題とずれてしまうのでいったん脇に置いておきます。
私は3点あると思っています。
- 未来含めて、世間から求められる職業である
- 学歴や年功序列をある程度無視してキャリアアップできる
- フリーランスという給料ドーピング手段がある
以下、詳細に解説します。
未来含めて、世間から求められる職業である
ご存じだと思いますが、エンジニアは慢性的な人手不足です。(もっとも、コンビニのアルバイトと同じで人手不足だからと言って高給を受け取れるとは限らないのですが。)
この状態は少子化もあいまって、しばらく継続することが予想されます。
そのため一度技術を身につけてしまえば、その技術が完全に陳腐化しない限り職にあぶれることはないと考えられます。
例え賃金が高くなくても、アルバイトやフリーターよりははるかに高い給与水準は維持されると思いますので、くいっぱぐれがないという意味では良い選択肢です。
逆に大手企業の総合職で安穏としていた場合、その企業内でしか通用しないスキルしか身につかず、早期リストラで職を失った場合に再就職先が見つからないケースも考えられます。
看護士や薬剤師と似ていますが、エンジニアのスキルは特定の企業に依存せず世間全般に求められるものなので、安定性が高い職業であると言えます。
学歴や年功序列をある程度無視してキャリアアップできる
エンジニアは実務経験重視の職業です。新卒採用のときは別としても、一度就職してしまえばあとは学歴や年齢はそこまで重視されません。
若くても実績さえ作ってしまえば年収1000万円も可能。こうした実力主義の風潮はあとからジョブチェンジを志す人や留年や学校中退などで社会のレールから外れてしまった人のキャッチアップを可能にします。
(といっても、30代未経験だと狭き門になってきますが)
営業など他の職種と異なり、この技術を経験すればこれくらいの年収がもらえる!!みたいな計算もしやすいので、継続して努力できる人であれば、比較的容易にキャリアアップが可能です。
人を選ぶかもしれませんが、この特徴は非常に魅力的だと思います。
フリーランスという給料ドーピング手段がある
エンジニアにはフリーランスとして独立するという選択肢があります。
フリーランスとして独立すれば、売上が全額自分の懐に入るようになるので、1.5倍~2倍以上の給料アップを狙えます。
フリーランスにはデメリットもあり安易な独立は私は反対の立場ですが、十分に実力があるエンジニアであれば魅力的な選択かと思います。
フリーランスの報酬は若い人からすると目を引く金額ですよね?
私個人としては多少時間がかかっても正社員で年収1000万円を狙ったほうが固いと考えますが、フリーランスはうまくいけば20代でこれくらいの報酬をもらえるので、これはこれでありかなと思います。
働き方という観点でも企業に縛られずに仕事ができるので、ノマドワーカーみたいな働き方にあこがれる人にはうれしいのではないでしょうか?
まとめ
まとめです。
システムエンジニアの給料は世間では高いとされているが、実際はそうではありません。
なぜなら
- 職場が都心部に集中している
- 男性の割合が高い
といった理由で、全国的な平均年収と比べると高く見えるだけだから。
実際に東京・男性に限定して比較すると、平均年収を大きく下回りました。
それでも、エンジニアに転職するメリットはあります。
その理由は
- 未来含めて、世間から求められる職業である
- 学歴や年功序列をある程度無視してキャリアアップできる
- フリーランスという給料ドーピング手段がある
といったものでした。
もしも、あなたがエンジニア、もしくはエンジニア希望者であるなら努力を継続することを忘れないでくださいね。
エンジニアは努力が報われやすい職業ですが、努力しないと平均未満の報酬しかもらえない職業です。
おしまい。
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